18市町村 消防団員インタビュー
(2024年8月取材時点)
佐伯市消防団 直川方面隊
本部分団 所属
輿石 なつみさん
佐伯市直川地域コミュニティセンター
地域支援員
2023年9月入団(団員歴2年)
キコレンジャーの存在が大きかった
2023年3月、17年ぶりに東京から地元へ戻り、6月から直川地域支援員として働いています。消防団には同年の9月1日に入団しました。
入団のきっかけは職場の上司に誘われてですが、入団の後押しになったのは直川村で生まれたご当地ヒーロー「キコレンジャー」の存在が大きかったです。上京する前からキコレンジャーの存在は知っていて、不審火、火災の撲滅を目指す活動の姿を見てきたので今は一員になれたことが嬉しいです。私がスーツを着ているかは内緒です(笑)
佐伯市内を中心に県内各地で防災訓練や、子どもたちにも消防・防火に興味を持ってもらうためのショーもしています。
もっと活動の機会が増えてほしい
直川方面隊の唯一の女性団員なので最初は不安がありましたが、出初式などで先輩団員が優しく声をかけてくれて不安は払拭されました。今ではかわいがってくれてます。ただ女性団員はもっと増えてほしいなとは思います(笑)
職場の上司も理解があり、仕事との両立はできています。
直川地域協力隊で個人宅に伺った際には、火災報知器の取り付け場所が間違っていないか、電池が切れていないかなど消防団目線で見ることができました。
一方、子どもの数が少なくなって小学校などに訓練で呼ばれることが減りました。
もっと活動の機会を増やしていきたいです。
より良い地域になっていくことが支え
消火訓練などの交流で、地域の方に消防団の活動に対して感謝されることが増えると、次第に火事や災害が起こったときに小さな子どもや高齢者の方の役に立ちたいという思いが強くなってきました。困りごとを少しでも解決して、より良い地域になっていくことが私の活動の支えになってます。
キコレンジャーはもちろんですが、これからはYouTubeやSNSなど動画を使った啓発活動も進めていきます。
臼杵市消防団
野津方面隊 第4分団 所属
父
藤田和秋さん
公務員
1993年4月入団(団員歴32年)
子
藤田吉政さん
家業のガソリンスタンド勤務
2023年4月入団(団員歴2年)
サイレンが鳴れば
体が勝手に動いてしまう
父:消防団の活動はライフワークなんですよ。地区の団員が退団されて、補充で入団したんですけど、今ではサイレンが鳴れば体が勝手に動いてしまう。生活の一部になっていて自分が団員じゃない姿は想像できません。市町村合併で隣町との交流が増えた際には、消防団での活動がいろんな人に顔を知ってもらう機会になったので、たくさんの人と出会えたことは財産だと思っています。
地元の人が親子共々
気にかけてくれるのが嬉しい
子:元々弟が入団していたのですが、引っ越しを機に退団したので、代わりに私が入団しました。地元に住んでいるのでいつかは入団するだろうなと思っていました。軍隊みたいな厳しい想像をしていましたが、先輩団員がフレンドリーに接してくれて安心しました。地元にこんなにも知らない人がいたんだと発見があって、より地域のことを知ることができました。父の知り合いが多く、職場でも「団長の息子やろ」とお客様に声をかけてもらうことが増えました。うれしい反面、少し恥ずかしいですが(笑)。
消防団の一員になって謎が解けた
父の行動(笑)
子:年末になると父が夜帰ってこないことが多くて、何をしているんだろうって思っていたんですが、入団して、年末夜警で地域を見回っていることが分かりました。飲み歩いていたわけじゃなかったんですね(笑)。一緒に現場へ行った際は的確に指示を出す父の姿を見て、普段とは違う姿にかっこいいなと思いました。今ではその一員になれたことをうれしく思っています。
父:出初式では私が先頭、息子が分団旗を持ってすぐ後ろを歩いて行進をしました。地元に残り、家業の手伝いをして、消防団の活動も一緒にしてくれる息子を誇りに思います。分団長を10年以上続け、世代交代のタイミングもありましたが、息子たちにはまだまだ譲れんぞという気持ちでいます。
地域を守り続けていくためにできること
父:少子化で地域の児童が少なくなり、親御さんの数も減ったので、12年くらい前から地域の方と一緒に小学校の草刈りをしています。夜警や有事の際の出動など夜に活動することが多いので、昼間に動いて地域に貢献している姿も見せないといけないと思いました。中高生にも活動する姿や啓発活動を見てもらい、息子たち次の世代がこの地域を守っていってほしいです。
津久見市消防団
第2分団 川内部 所属
橘 寿雄さん
公務員
2009年4月入団(団員歴11年)
親がお世話になった地区への恩返しに
純粋に消防団の活動には興味があったんです。
飲み会とかも楽しそうだなって(笑)。その後、ちょうど地域の方に誘われたのをきっかけに入団しました。今はその地区に住んでいないんですけど、親が育った地区なので、お世話になった場所への恩返しとして消防団の活動を続けています。
当初は至って普通に活動していましたが、台風の影響で川が氾濫し災害を経験したことを機に防災意識を改めました。
人が集まる防災会議では装備の更新や常備食の紹介、独居老人の連絡方法見直しなど、今私たちができること、やるべきことを再確認しました。
連絡ツールの進歩で
災害や救助要請への対応を効率的に
消防団の活動は管轄地区に住んでいなくても、勤務先が市内であれば入団できるんです。私たちの分団は、半数が管轄外に住んでいますよ。
対応が遅れそうで心配かと思いますが、それでも災害が起こった時に困ることはありませんでした。消防本部や他分団との情報共有アプリなどの連絡ツールが進歩し、どこで災害が起きているか、救助要請はないかなどの連携が随時取れるようになりました。
雨が続いたり、台風が接近したりした時には、市外に住んでいる団員に前もって待機連絡を取れるようになったので、活動には支障がありません。
市外に住んでいても、地元を想う気持ちで入団してほしい
高齢化が進み、地域に住んでいる人たちだけでは消防団の活動を維持することは難しくなっています。
市外に住んでいる人も、その地区に縁がある人たちが地元を想う気持ちで入団してくれていると思います。みんな郷土愛があるんですよ。
ここ数年、若い団員の入団が続いていて、地域もそうですが、やっぱり活性化しますよね。
機庫が汚いって言われないように整理整頓しておきます(笑)。
豊後大野市消防団
第2方面団長
衞藤 信彰さん
会社員
1992年4月入団(団員歴33年)
まずはやれるだけやってみる
清川町で自営業をしながら神楽座の楽長やPTAの代表など、頼まれれば全部受けてきました。やらずに文句を言うのが嫌いな性分なので。
当然、消防団の方面団長も引き受けました。火災が発生すれば現場指揮本部(常備消防)と連携して消防団員に指示を飛ばし、人命捜索となれば陣頭指揮を取る、いわゆるチームの監督的な立場ですね。
指揮する上で一番大事なのは団員の安全確保だと思っています。装備の忘れ物がないか、無線は現場で通じているか、火災の現場は熱中症になりやすいので適度に休ませ、無理をさせないなど細心の注意を払っています。
どうせ皆手伝いに来る、
なら入っちゃえばいい
やっぱり人材不足が課題です。
若手もそうですが中核を担う人材が少なくなってきています。
そこで、私の方面団では一度退団された方の再入団を認めています。体力的には若手に負けるかもしれませんが、知識はあります。現場の最前線にいなくても若手に指示を出し、フォローすることができる即戦力の人材です。
それに、近所で火事が起きた時って結局手伝いに来てくれるんです。みんな地元愛がありますから(笑)。消防団に所属していない人にけがをされると困るので現場では離れてもらっているのですが、どうせ手伝うのなら消防団に入っちゃえば?と誘っています。
守らなければならない地域の宝
消防団と同時に始めた御嶽神楽は消防団に通じるものが多かったです。
家族や周りの人の理解がないと続けられないし、好きなだけでは続けられない。どちらも「地域の宝」で守らなければならない大事なものです。
誰しも多かれ少なかれ地域に助けられ今の生活がある。消防団の活動は、お世話になってきた地域への恩返しの一つだと思っています。