18市町村 消防団員インタビュー INTERVIEW

消防団員インタビュー

区域

中部

大分、別府、杵築、由布、日出

北部

中津、豊後高田、宇佐、国東、姫島

西部

日田、竹田、九重、玖珠

南部

佐伯、臼杵、津久見、豊後大野

中津市消防団 本部 所属

冨永 まりさん

自営業
2014年8月入団(団員歴11年)

女性ならではの声掛けで
交流しながら防火診断

青少年活動を一緒にしていた当時の消防団副団長から、女性消防団を立ち上げないかと誘われ、発足から携わりました。
最初は7人だったんですけど、今では24人まで団員が増えています。中津市の女性消防団は消火活動はしません。主な活動の一つとして、月に1回、3班に分かれて緊急通報電話をお持ちの独居高齢者宅に伺い、防火診断などをしています。制服を着て住宅街を回るので、重々しい顔をしていると警戒されるため、できる限り明るい表情で訪問しています。また、暑いですねとか、水分を多く取って熱中症には気をつけてね、などの女性ならではの声かけを心掛けています。困りごとの相談だったり、笑顔で手を振ってお見送りをしてくれたりと地域の方との交流ができるのもいいですね。でも、防火診断で伺っても、なかなかすぐには改善してくれないんです。だから継続して注意を促すことによって、意識してもらうことが大事。目に見えての成果はわからないけど、地域の火災が減っていることの一端を担っている、という気持ちで責任を持って活動しています。

何でも自由にできる年齢なら
ぜひチャレンジを

50歳を過ぎて入団された方もいるんですよ。子どもが自立して、もう孫がいるよって年齢の方が動きやすいんです。何かしようとしても反対する人がいませんから(笑)。

活動に興味があって、自分もやってみようというボランティア精神がある人はチャレンジしてほしいですね。

逆に、仕事と思って入団すると、それは違うよと。
あと、私たちの分団では少人数の飲み会はしていません。変にグループができて不満や、しがらみが出てくるのが嫌なんです。会議が終わるとみんなすぐに帰りますし、さっぱりしているんですよ。
一人で入団する方でも違和感なく溶け込めると思います。

自分たちも安心・安全に暮らせるように

いろんな分野に種を蒔いてきたおかげで、次の世代を引っ張っていける人材も育ってきました。私はそろそろ別の楽しみを見つけようかなと(笑)。
ただ、うちの団員たちに全国女性消防団員活性化大会を見せられていないので、なんとか連れて行ってあげたい。
そこまでは女性消防団員として頑張るつもりです。他県の活動を見ることによって、刺激を受けて地域に還元してほしいですね。
こうして私たちが活動を継続していくことが、地域の安心安全な生活を守ることにつながり、ひいては未来の自分たち世代にもつながっていくと思うんです。
少しでも興味を持たれた方は一度活動に参加してほしいです。

豊後高田市消防団
第8分団第5部 所属

成重 諒さん

公務員
2017年10月入団(団員歴8年)

入団してからずっと最年少(笑)

退職する職場の先輩がいて、その人が退団するタイミングで代わりに入団しました。

最高齢の方は70歳近くで、私は入団してからずっと最年少です(笑)。

活動は出初式、年に3回の訓練、災害時の出動などがあります。大雨の時は河川の氾濫に備えて、土嚢(のう)を作って設置する作業もしています。ご自宅に土嚢を持っていった時は住民の方に感謝されました。

陸上競技での経験が役に立ったこと

県内一周駅伝に出場したり、高校の陸上部のコーチを引き受けたりと体力には自信があったんです。陸上競技では忍耐力、諦めない力が養われました。山で行方不明者が出た時は周りの団員に頼りにしてもらいました。こういった形で地域の役に立ててうれしかった。入団するまでは火を消すだけと思っていましたが、地域のために自分でもできることがあるんだと実感できました。

また、消防署や地域の方を知ることができるので、今担当している観光の仕事にも生かすことができました。観光施設の防火水槽の設置場所や花火大会での夜警、発電機の使い方など、消防団で得た知識は意外といろんなところで役に立つんですよ。

小学校の頃見ていたあの姿に

私が小学生の頃、全校生徒の人数の少なさからか運動会に消防団員が参加してくれていました。
今でもその文化は続いていて、あの時見ていた「消防のお兄さん」に自分がなれているのは変な気持ちです(笑)。
地域に密着していて相手の顔が見える分、守りたいという気持ちが強くなリました。

消防団って誰でもいいってわけではないと思うんです。誘う人も一緒にやりたい人を選んでいます。だから声をかけられるだけでも貴重な人材だと思います。
仕事の先輩後輩とは違う関係性があるし、地域の人にも感謝される。若い人があり余った体力を発揮し成長できる、やりがいのある場だと思います。

宇佐市消防団
第10分団1部 所属

清水 重成さん

会社員
2022年4月入団(団員歴3年)

正直に言うと、嫌でした(笑)

正直に言っていいんですか?入るの嫌だったんです、消防団って(笑)。

単純に面倒くさそうとか、やることいっぱいあるんじゃないかなと思っていました。
でも父に誘われて、地元にいるんだったら入ってもいいかな
という気持ちになりました。

入団して変わった
「消防団へのイメージ」

実際に入団してみたら、そこまで団員との交流もないですし、負担も少なかったです。

夜警や訓練は強制ではないので参加できない日は融通が利きますし、各団員は普段仕事をしているので協力し合って無理のない程度で参加しています。

参加できないからといって文句を言う人はいませんね。

もちろん目上の方とも交流があるのですが、フランクに話をしてくれて皆さん優しいですよ。見た目は怖いですが(笑)。

操法で身に付くこと

火災訓練で「スピード」「正確さ」「節度」を競う消防操法大会があるんですけど、小型ポンプ操法の部5人1組の市代表メンバーに選ばれました。
週に2回、仕事終わりの時間を使って練習しています。

最初はなんでこんなことやっているんだろうとか考えていました。けど、一人一人に役割が与えられていて、チームで動くことで、より素早い消火活動ができるので、実際に火事が起こった時に確実に生かせると思います。また、「節度」は正しい姿勢で作業すること。実生活でも意識をしています。
誰も気づいてくれませんが、少し姿勢が良くなった気がします(笑)

操法は覚えることも多く大変ですが、同じチームに同級生がいるので、二人であーだこーだ言いながらも続けられています。
先輩や違う分団員の方々が時間を作って指導してくれたり、応援に来てくれるので、やるからには責任を持ってやり切ろうと思います。

国東市消防団 武蔵方面隊
第12分団第1部 所属

越名 秀樹さん

自営業(デザイン事務所)
2014年4月入団(団員歴10年)

移住者が地域に馴染むための
最良の手段

祭りや行事など、地域のつながりに憧れがあったんです。
移住する前は都会の新興住宅街だったこともあり、若い世代が大半で交流が全くと言っていいほどなかったです。ちょうど妻の実家が国東市にあり、何度か里帰りで訪れているうちに「住んでみたい」と思って。期待に胸を膨らませて、地域おこし協力隊としてまずは単身移住してきたんですけど、当初はよそ者が来たと警戒されていました(笑)。最初は壁があったんですよね。

このままではダメだと思い、地区の行事に積極的に参加しました。そうしているうちに職場の上司から誘われて消防団に入りましたが、移住者にとって地域に馴染むためにはすごくいい手段と思います。

その土地のことを詳しくなれるし、訓練などでいろんな方と交流する機会があるため、受け入れてもらえる場面が増えていきました。

団員数の減少で引き継ぎが心配

地元住民も少しずつ心を許してくれて、消防団の活動を通じて感謝されることも増えました。ただ、消防団についてちょっと気になることも。災害がほとんどないことはいいことですが、団員数が少なくなるにつれ、知識や技術の引き継ぎがうまくいってないように感じています。

訓練で基礎は学べるんですが、実動経験が少ないので、出動までの流れや対応方法といった実践的な部分は身につきにくいのでは、と感じました。
大きな災害が起こった時に本当に動けるのかと不安に思うこともあります。
このままだと地域を守る力が弱くなっていくんではないかと危惧をしています。

これからもこの土地の空気や海を守るために

最初は憧れで移住してきましたが、これからは楽しいことばかりじゃないと思います。高齢化と過疎化が進み、団員数が減っていくことは容易に想像できます。
私はこの土地ののんびりした空気や透き通った海が好きで、これを守りたい。
そのためには、まずは移住してきた私たちが頑張る姿を見せることで、地元の人たちにも奮起してもらい、一緒に自分たちの町を守るという気持ちが広がっていけばと思っています。

姫島村消防団
消防団長(本部付)

大海 利光さん

自営業
1985年5月入団(団員歴40年)

消防団は一家に一人が関わるほど
身近な存在

消防団に入ってようやく一人前の大人と教えられましたね。

消防団員に空きが出れば若い人は声をかけられ、必ずと言っていいほど入団していました。親が率先して入れたがるんです(笑)。

当然私も声をかけられ、当たり前のように入団しました。

姫島では総世帯数が限られているため、一家に一人はいずれかの世代で消防団に関わっていると思います。

島ならではの高い防火意識、
火災の怖さを知る島民

島では家屋が密集していて、それ以外は農地が広がっています。
季節風が吹く時期に風上で火事が起きたら一気に燃え広がる可能性があるため、島民は火災の怖さを知っています。
防火意識も高く、10年以上大きな火事は起こっていませんね。

また1954年に発足した少年消防隊の活動も、島民の防災意識を高める上で重要な役割を持っていると思います。出初式に一緒に参加した際は、一糸乱れぬ軽快な行進や大人顔負けの機敏に動く姿を見て感心しました。

島内の企業も消防団の活動に協力的で、島全体で災害について備えています。

全員で助け合う団結心で地域に貢献できる団に

島を背負っていく気概のある人たちが消防団に入っているように思います。
島で行われるほぼ全ての行事において、消防団の参加は欠かせません。高齢化が進み、祭事や草刈りでの力仕事には若い人の力が必要です。
“消防団員がいないと始まらない”のではなく、“動ける人は皆行事に参加し、消防団に入っている”のが現状です。
島民が少ないため、団員のことはみんな知っていて兄弟みたいに感じています。離島なので災害が起きた際には支援が遅れることもあり、自分たちでできることは自分たちでする、困っている人がいれば全員で助け合うという仲間意識が強いのかもしれません。
この先、人が少なくなっていくことは覚悟していますが、できないから諦めるではなく、絆をより深くしていき、団結心で地域に貢献できるような団にしていきたいです。