18市町村 消防団員インタビュー INTERVIEW

消防団員インタビュー

区域

中部

大分、別府、杵築、由布、日出

北部

中津、豊後高田、宇佐、国東、姫島

西部

日田、竹田、九重、玖珠

南部

佐伯、臼杵、津久見、豊後大野

大分市消防団
女性分団 所属

有吉 さおりさん

自営業
1998年9月入団(団員歴26年)

私にもできる範囲で地域に
何か貢献できないかと考えました

新聞で女性消防団募集の記事を見かけたんです。
父が消防団で活動していたので、女性でも消防団員になれることを知り応募しました。

育児休暇中でしたが、広報活動がメインという募集内容だったので私にも無理のない程度に何か地域に貢献ができることがないかなと考え、夫に相談して入団しました。

もっと親しみやすく
時代に沿ったオリジナルの紙芝居を

主な活動は、わくわく消防教室と救急講習です。
わくわく消防教室では園児に防災の知識を紙芝居などで教えていたんですけど、その紙芝居が年季が入っていて、ストーリーも時代に合っていなかったりするんです。コロナ禍で思うような活動ができない時に、もっと持ち運びしやすくて、県内の災害に応じた内容に変えたいと思い、大分大学と協力してオリジナルの紙芝居を作ることになりました。地震、津波、台風など近年増えている災害への備えについて、園児たちにも親しみやすくするために、絵柄やカラフルな色使いに気を配って、約1年ほどかけて完成させました。紙芝居は休憩を挟んで20分ほどの話ですが、園児たちは真剣に見入ってくれました。子どもたちの笑顔を見たり、「お母さんに伝えるね」といった感想を聞いたりするとうれしかったですし、やってよかったなと思いました。また、全国の女性消防団員の前でこのオリジナル紙芝居を披露する機会があったのですが、終わった後に他県の方から「自分たちも作ってみたい」と声をかけていただきました。こういった活動が全国にも広がって、地域の人の防災意識が向上してもらえたらうれしいですね。

消防団員のカッコいい姿を見せてもっと防災を身近に

実は今、娘も消防団員になって一緒に活動しているんです。
娘が入団する際の志望動機に「母が活動する姿を見て」と記入していて、そういう風に見ていてくれたんだと知り、正直驚きました。
小さいうちから紙芝居作りや操法大会などで私が活動する姿を見ていて、消防団に対しての予備知識があったからだと思います。まだまだ女性消防団の存在は世間に知られていないので、女性でも操法できるんだよとか、かっこいい姿を見てもらい、認知を広げていきたいですね。
広報活動などを通じて子どもたちにも防災を身近に感じてもらい、次世代に安心な街を引き継いでいければと思います。

別府市消防団
第5分団 所属

佐藤 裕明さん

会社員
2013年10月入団(団員歴11年)

楽しい関係性が築けた
“大人の部活動”

別府に住んでる人は自宅のお風呂に入るんじゃなくて、銭湯に行くことが多いんですよ。そのほうが安上がりですから。

私も妻の弟と銭湯に通っていたんですけど、そこで消防団の分団長とたまたま時間帯が一緒だったんです。妻の弟を消防団に勧誘するために家へ訪ねて来た際、いつも一緒に銭湯にいる若いやつは誰か?って聞かれたみたいで。入団届の用紙を2枚渡されて、私もそのまま入団する流れになりました。

嫌だったら辞めればいいかという軽い気持ちで入団しましたが、私には合っていました。厳しい上下関係はないし、活動していない時はイタズラを仕掛け合ったりと楽しい関係性が築けています。
妻の言葉を借りるなら「大人の部活動みたい」とのことです(笑)。

小学校で防災イベントを開催

地域消防アドバイザーを受講し、その知識を生かして小学生を対象とした防災イベントを開催しました。というのも、長期休みの後に学校へ行きたくないと言い出す児童がいるそうで。小学校で読み聞かせの会の活動をしていた妻が、当時の教頭先生から相談を受けていました。そこで妻の「消防車、なんとかならんかな?」という言葉を受けて、読み聞かせの会と一緒に防災イベントを開催しようと考えたんです。イベントでは防災を身近に感じてもらえるよう、校庭に消防車を展示したり、防災服の着用や模擬消火体験などを行いました。また、防災について児童にわかりやすく伝えるために大きなパネル上でイラストや文字などを動かしながらお話しを伝える「パネルシアター」を作って披露しました。会場には夜店みたいなミニゲームのブースを設置したんですが、子ども達が店番を手伝ってくれたりと自発的に動く姿や笑顔も見られてイベントは大成功でした。あとで聞いた話ですが、学校を休みがちだった子もこれを機に登校できたみたいで、今回のイベントがきっかけになったのであればうれしいですね。地域消防アドバイザーを受講したばかりだったので学んでよかったなと思いました。

消防団の活動を子どもたちの部活動にしたい

今後の目標というか野望?(笑)があるんですけど、消防団の活動を部活動として普及できないかと考えています。そうすればボーイスカウトみたいに知識や体力を身につけられるし、誰かの「学校だけじゃないもう一つの居場所」になってくれればいいなと思っています。小さい頃から防災について触れて、まずは自分の手の届く範囲の人を守れる大人になってほしいですね。
児童の部活動から始めて年を重ねて、いつか“大人の部活動”に流れて来てくれることがこの先の地域を支えるために大事なことだと思います。


杵築市消防団
第2中隊 第6分団 所属

森 勇也さん

自営業
2013年4月入団(団員歴11年)

大阪から移住して整骨院を開業

大阪から杵築市に家族で移住して、整骨院を開業しました。

患者さんから消防団に誘っていただき、二つ返事で入団を決めました。

良いも悪いも分からなかったので先入観や抵抗は全然なかったですね。

不安よりも動かなきゃと思った

なかなか無いと思うんですけど入団する前に夜中、火災招集がかかったんです。
右も左も分からないまま法被(はっぴ)だけ持って現場へ走りました。
とにかく自分の地区名が書かれた法被の団員を探して回ったんですけど暗くて見えないんですよ。焦ってるし気持ちは高ぶっていましたが、現場を仕切っている人が的確に指示を出してくれたおかげで安心して作業ができました。

入団するって決意をしたからこそ、不安よりも動かなきゃという責任感が生まれました。

自分が住む土地のことに詳しくなれる

縁もゆかりもない場所で知り合いは全くいなかったです。一番困ったのは患者さんに問診票を書いてもらう時に、高齢の方は昔の地名で教えてくれるんですけど、それが全然分からなくて(笑)。でも、消防団に入るとその土地のことに詳しくなるんです。訓練などで知り合いも増えて地域に溶け込むのが早かったです。

消防団って、いきなり大きな自治体に入るよりハードルが低いと思うんです。小隊から始まって順を追って大きな分団へとつながりが緩やかに広がっていく。いきなり自治会や隣保班の集会に一人で参加して、偉い人の前で挨拶するみたいな流れよりかは、はるかに参加しやすいと思います。移住してきて、何もつながりがないままお店を始めたので、地域の一員になるきっかけになってよかったです。

由布市消防団 本部 所属

吉良 美和子さん

公務員
2015年4月入団(団員歴10年)

機能別団員の仕事

同期の方からの誘いで入団しました。
消防団って火を消したりするのかなと思っていたんですけど、私の場合は違っていて。主には年に4、5回、市内の幼稚園などに伺って劇や童謡の替え歌、紙芝居を使って防災についての啓発活動をしています。

劇では火事を想定した避難方法を、団員が子ども、お母さん、おばあちゃん役などに扮して伝えています。内容や衣装は自分たちで考えて作るので、学生時代の文化祭のような楽しさがあります。

訪問後に、保育士の先生を通じて「消防のお姉ちゃん、ありがとう!」と書かれた寄せ書きをいただいたこともあります。それはすごくうれしくて今でも大事に持っていますよ!子どもの時から防災の知識に触れられるって大事なことだと思うんです。

消防団で学んだ子どもとの接し方

実は入団するまで子どもと接する機会があまりなくて、苦手意識があったんです。

でも幼稚園訪問などで触れ合うようになって、今では子どもたちがかわいくてかわいくて(笑)。普段の仕事では子どもたちと触れ合う機会がなかったので、消防団の活動でそれが経験できてよかったですね。

消防団に入った後に出産を経験し、自分の子どもを育てていく上で分かったんですが、親が知らない、教えてあげられないってこともたくさんあって。
防災知識はその一つですね。それが幼稚園や学校で教えてもらえる機会があるってすごくありがたいなと、自分のことながら思いました。もう少し子どもが大きくなったら消防団で学んだことを教えてあげたいです。

自分の得意なことで地域の子どもたちを守れる

消防団の活動は、もちろん準備だったり大変なこともあるけど、それ以上に自分を成長させてくれる場として貴重な経験をさせてもらっています。
大勢の人前で話すのが苦手な人でも、絵が得意な人は紙芝居を書いたり、ピアノが得意な人は童謡を歌う時に演奏したり、自分の得意なことで地域の子どもたちを守る活動ができます。少しでも興味を持たれた方がいれば一度活動をのぞいてみてほしいです。できないことは先輩が優しくフォローします!

日出町消防団
女性部 所属

田口 有里子さん

会社員
2023年4月入団(団員歴2年)

家族を守れる技術を
身につけたかった

日田市の豪雨災害で友達が被災しているのをニュースで知ったんですが、その時は県外に住んでいて何も力になれないことがもどかしくて。

その経験を機に、防災についての気持ちが高まり、地元である日出町に戻ってから防災士の講習を受けました。

まずは高齢の親や子どもなど、家族を守れる技術を身につけたいという気持ちで一歩踏み出しました。その時の講習をしてくれた救急救命士の方に「どうやったら消防団に入れるんですか」と直接話を聞き、女性消防団を紹介してもらいました。

子どもの成長が分かる
「ジュニア消防団」

私より先に子どもが日出町の少年消防クラブ「豊岡ジュニア消防団」に入っていて、今はその活動のお手伝いをさせてもらっています。

今年全国大会に出場するので、ロープワークや消火訓練を練習していますが、できることが一つずつ増えていくので、子どもの成長を実感できてうれしいですね。

小学校の部活動とは違って、直接地域のために貢献しているという気持ちが子どもたちの自信につながっていると思います。

災害が起こった時には近隣の高齢者に「一緒に逃げるよ」と声かけができる子どもに育ってくれればと思っています。

家族を想う気持ちの延長線上に

日出町の女性消防団員のこと、すごい好きなんです。とにかく活発。活動する時はピシッとやるし、笑う時は大声で笑ってて。オンオフの切り替えができてるんです。地域のためにという意識が高く、意見をしっかり持っていて、自立した女性って感じが好きです。毎回の総会が楽しみで、終わった後には満足感いっぱいで、元気をもらって帰ります。新しい人が入っても変な壁がないので、すぐに溶け込めると思いますよ。元気に活動する姿を見てもらい多くの人に防災について興味を持っていただきたいです。まずは家族を守りたいって気持ちだけでもいいんです。家族を想う気持ちの延長線上に消防団があればいいなと思います。